CT撮影について

X線技術者様へのお願い

より安全でより確実なインプラント手術を実現するために、CT撮影方法として下記のとおり規定させていただきます。本主旨をご理解いただき、撮影を進めていただきますようお願いいたします。

撮影手順

1. テンプレートを装着する

テンプレート

CT撮影用テンプレートを歯科医師が指定した噛み合せ位置で装着するように、患者さまへ指示してください。
なお、プレート状マーカー(石膏製の四角い板)の正面および側面には、X線入射方向を決定するためのレーザー用基準線が記載されています。

2. 患者さまのポジションを設定する

プレート状マーカーに記載されている、正面および側面の基準線とレーザー光線を以下の手順で合わせてください。

1.マーカーの①正中線と軸方向のレーザー光線を合わせる
2.マーカーの②側面基準線とX線入射方向が直交するようにレーザー光線を合わせる

テンプレート « プレート状マーカー »
レーザー用基準線①正中線
レーザー用基準線②側面基準線
正中線を合わせる 1.①の正中線と軸方向のレーザー光線を合わせる
側面基準線 2.②の側面基準線とX線入射方向が直交するようにレーザー光線を合わせる

レーザー光線がマーカーに届かない場合、目分量で基準線と平行に合わせていただいても結構です。
左右対称であることを確認してください。
できれば、頭をベルトで固定されるようお願いいたします。

※なお、側面基準線は下記図例のような状況を考慮して記入されておりますので、ご参照ください。

アーティファクト発生

金属修復物によるアーティファクトは、金属を発生源にしてX線入射面上に発生するという特性があります。

図のように、金属とインプラント埋入部位がX線入射面上に並んでいると、アーティファクトがかかりやすくなります。

そのため、患者さまの頭部を傾けて、プレート状マーカー側面のレーザー用基準線と垂直にX線を入射することで、アーティファクトがインプラント埋入骨部位および周辺歯列にできるだけかからないようにする必要があります。

例1)前歯部に金属修復物が入っていて、臼歯部にインプラント埋入予定の場合

顎を引く 顎を引く

上顎に埋入⇒顎を引く

下顎に埋入⇒顎を上げる

例2)臼歯部に金属修復物が入っていて、前歯部にインプラント埋入予定の場合

顎を引く 顎を引く

上顎に埋入⇒顎を上げる

下顎に埋入⇒顎を引く

例3)金属修復物が入っていない場合

金属修復物が入っていない

アーティファクトは発生しませんので、患者さまの頭部を傾ける必要はありません。
側面基準線と垂直にX線を入射してください。

3. 撮影範囲を定める

撮影時の注意点

CT撮影する間、動いたり唾液を飲み込まないようご説明ください。
また、CT撮影用テンプレートは歯科医師が指定した位置に装着するよう患者さまにご確認ください。時々浮いて撮影されることがありますので、よろしくお願いいたします。

撮影範囲

プレート状マーカーと顎部が納まるように撮影範囲を定めます。
※FOVの設定は、上顎窩、下顎頭から前部、マーカーまでを入れてください。頚椎等は外れていても構いません。

撮影範囲

CT撮影時にはプレート状マーカーも撮影範囲に入れてください。
撮影範囲は真円になるようにお願いいたします。

下顎頭より後方は必要ありません。

片顎のみを必要とする場合は、必要側の撮影範囲内にプレート状マーカーが入るようにします。

撮影範囲

上下顎を必要とする場合は、顎の中央にプレート状マーカーが入るようにします。撮影範囲

撮影条件(参考例)

下記はGE社製GE Discovery ST-8で撮影した時のものです。同レベルであればこの条件に限りません。

  • 管電圧
  • 120kV
  • 管電流
  • 200mA
  • ScanTime
  • 0.6sec
  • Scan Type
  • Helical 16multi
  • Slice Thickness
  • 1mm 以下。薄い方が好ましい。
  • Algorithm
  • FC30 または 81
  • FOV
  • 約10~25cmでマーカーが入る範囲
  • Gantry Tilt
  • 0°(プログラムの関係上、必ず0度でお願いします)
  • 頭位置
  • Head First (できれば固定してください)
  • Matrix
  • 512
  • オーバーラップ
  • 再構成間隔はスライス厚みの半分(50%)または0.5mm
  • 再構成関数(Kearmel)
  • 若年者はH60-80でエッジをシャープに、老年者はH40-60でエッジを丸くすることを推奨します。

保存について

  • ● DICOMには必ずヘッダー情報の入力をお願いいたします。
  • ● シリーズフォルダに分かれていると、BioNaで読み込むことができません。
  • ● DICOMのAxialデータをCD-ROMにコピーしてください。 コピーの際PC等で圧縮するとデータが損なわれることがあるようです。そのような場合は本機から直接コピーしてみてください。
  • ● CD-ROMに出力する際もマーカーを含めた形で「トリミングせず撮影範囲すべて」を保存してください。
  • ● 座標を動かして保存されますとシミュレーションデータとの間で座標がずれることになります。撮影データそのものを保存していただきますようお願いいたします。 真円になるように
  • ● CD-ROM、石膏模型とCT撮影用テンプレートは患者さまにお渡しください。もしくは歯科診療所またはバイオニックまで送付願います。この際、マーカーが外れないように取扱いにご注意ください。